↑お母さまから譲られた思い出の時計


 腕時計のブレス(バンド、ベルト)と言えば腕周りにフィットするようコマ調整をして使用するのが一般的です。

 しかし、上記画像のようなタイプは調整コマがないため長さ調整ができません。同様のタイプで留め具部分で調整できる場合もありますが、こちらのセイコー製の時計は調整不可能なタイプでした。

 こうした場合はどうするかと言うと・・・

↑ブレスの裏側です。凹みがあります

  ・・・切ります。
 そのための工具がこちら↓。当店には用意がなかったため急遽借りてまいりました。

金属カッター。刃が分厚いです
切れ味がよくついたくさん切りたくなりますが慎重に・・・

 位置を決めたら一気に切ります。切った後は切断面を処理して装着。お客様がしっくりくるところまでご相談しながら調整していきます。

 お客様は何店か回って断られた後だったようで、お母さまが身につけていた時計をしっくりくる形で装着できるようになりとてもお喜び頂けました。

↑今回はこれだけ短くしました

 それにしてもこちらのブレスは最近は見かけなくなりましたがとても肌なじみがよいようです。年代的には1980年代前半です。

 今回のお客様同様にお母さまから譲られる方もいらっしゃるかと思います。もし調整ご希望の方はぜひご来店ください。

 あいにく工具は借り物のためお持ち込み時はサイズ測定のみさせて頂きます。その後大まかに調整をした上でお引取りの際に微調整いたします。

 微調整のお時間は混雑していなければ約20分。切る=戻せないため慎重に作業させていただきます。料金は¥1,650(税込)です。

 ちなみにセイコー製の時計は裏蓋記載の製造番号で製造年月がわかるようになっています。最初の数字は製造年の西暦の下1ケタです。その次の数字は製造月(1-9に加え10月は英語表記の頭文字である「D」、同様に11月は「N」、12月は「D」)です。

 もしご両親からセイコー製の時計を譲られたとしたら製造年月をチェックしてみてください(セイコー以外にもシリアル番号で製造時期が特定できるブランドはあります)。

 そして、当時はどんな世の中だったのか、家庭ではどんなことがあったのかぜひ調べたり想像してみてください。きっとその時計により一層の愛着が湧いてくると思います。