緩んでしまったブレスピン・チューブ
↑クラスプ(留め具)のピンが外れてしまっておりました


 オメガ/シーマスターのブレス(ベルト・バンド)の留め具部分のピンが抜けてしまいお持ち込みを頂きました。交換で対応可能ですが、念のため他の箇所もお調べしたところ4箇所緩んでいる箇所がありました。

 この不具合はシーマスターだけでなくスピードマスターでもよく見られます。最悪の場合、突然ピンが抜けて時計が落下し、コンクリートの上など当たりどころが悪いと風防が割れたり内部機械(ムーブメント)のパーツが折れてしまうこともあります。

緩んでしまったブレスピン・チューブ
↑金属製の棒で横から押すと簡単に抜けてしまいます

 緩んでいるかどうかは簡単にチェック可能。金属製の細い棒で横からブレスの穴を押しピンがスッと出てきてしまうようでは要交換です。

 当店では↓こんな工具を使用しておりますが¥5,000くらいします。当然ここまでではなくても大丈夫です。0.8mmくらいの太さがあれば理想的で細すぎると力が伝わらず要交換の状態であっても抜けてこない場合があります。

 バンド交換用にも1本持っておきたい場合は下記で十分かと思います。ネットでバンドを買うとついてくる場合もあります。

 このブレスピン・チューブはそれぞれに溝が切ってあり、その溝同士が合わさることで固定されるしくみです。不具合が起きたピンおよびチューブを取り外すと、ピンが摩耗していたり下記画像のようにチューブが割れていることが多いです。

チューブにヒビが入っています
↑チューブにヒビが入っておりました

 経年によって摩耗する部分ではありますが、皮脂などの汚れが詰まることで摩耗しやすくなります。不具合をなるべく起こさないようにするためには定期的にブレスの超音波洗浄を行い、内部の汚れをしっかり落とすことが重要です。

 特にクォーツ時計の場合は機械式時計よりも定期的なメンテナンスの期間が長く洗浄する機会が少ない場合が多いのでお気をつけください。洗浄のみのご依頼も大歓迎です(ブレスのみ¥1,100/税込、ケース・ブレス(SS)¥2,750/税込、金など貴金属使用の場合は¥3,850/税込、いずれもお預かりの上翌日以降お渡し)。

 今回は計6箇所(ピン6本、チューブ12本)の交換となり、料金は合わせて¥12,980(税込/@1980*6箇所+ブレス超音波洗浄¥1,100)、2日間のお預かりとなりました。